Webサイトを成功させるために
使いやすく魅力的で多くの人に支持され、企業ならば信頼性や企業価値の向上に、ECサイトならば売上の向上に貢献できるWebサイトにしたいとだれもが立ち上げ時には考えます。
しかし、現実にはなかなかうまくいかない場合も多いようです。
スムーズに移動できない・使いにくい・魅力がない・目的の情報になかなかたどりつけない… 普段何気なく見ているサイトにその解決のヒントがあります。
あなたやあなたの会社のサイトは大丈夫ですか?
上部からはドロップダウンメニュー・左にはサイドメニューとバナー・右にはバナーの大群・下にはテキストリンクと四方がメニューに囲まれた状態で、次々にコンテンツを追加していった結果、ポータルサイトのようにトップページがメニューだらけのサイトがあります。
サイト訪問者は30秒程度でトップページを判断します。トップページがサイトのポイントが伝えなられない場合、サイト訪問者はその場で立ち去るかも知れません。
サイト設計の段階からサイトの目的を明確にして掲載する情報を整理することが大事です。拡張性の高い構造を考えるのはもちろんですが、ビジネスの局面が変わることもありますし、技術も新しいものが主流になってきます。業種にもよりますが、だいたい2年をめどにリニューアルを含めWebサイトの見直しを考えてみてはどうでしょうか。
次々にコンテンツが追加されても、そのコンテンツへのリンクはトップページのバナーだけ、その追加されたコンテンツページには「トップへ」あるいは「戻る」のリンクしかない。どのページを見るにも一旦トップページへ戻ってからまた移動しなければならず、ユーザビリティに難のあるサイト構成となります。サイト内を移動するうちに、いったいどこにいるのか分からない状態でいつしか迷宮のようなサイトが出来上がります。
プレスリリースや新着情報などのページを追加するときに別ページへのリンクを忘れると、検索エンジンから直接ページに飛んできたユーザーはサイト内のどこへも移動できない状態に陥ります。
まずサイトの設計段階で、メニューや項目の階層構造や書式を文書(仕様)として残してもらい、納品時に受け取るようにしましょう。サイト利用者の立場に立ったサイトを制作することで、メンテナンス性にも優れたサイトとなります。階層に対して縦横にしっかりリンクが張られたサイトは検索エンジンのロボットも効率的にページ情報を取得してくれるので有利になります。
物理的な制約が少ないWebサイトは、主力商品だけではなくすべての商品をお客様に見てもらうことが出来て情報を発信するには最適です。ニッチな商品の広大な売り場をほとんどゼロに近いコストで設けることができるのもショッピングサイトならではの強みです。
商品などのカタログページや「Q and A」などのページは、コンテンツが増えれば増えるほどページが縦に長くなってきます。縦に長いページをスクロールするのはユーザーに負担をかけるのも事実です。
最初に表示される1画面分は当然100%のユーザーが閲覧している。ところが1.5画面分を見たユーザーは40%。2画面分となると、なんと35%にまで低下する。3画面分以上も付き合ってくれるユーザーは、2割に満たない。また、スクロールしたからといって、表示された全情報を読んでくれたことにならないので注意が必要だ。」(ヤコブ・ニールセンの「新ウェブ・ユーザビリティ」より)
サイトに情報を掲載するのは実際の店舗のショーケースに商品を陳列したり企業のショールームに製品を並べるのと同じです。お客様が商品や製品に興味を持ってもらうためにはただ並べるだけではなく、それなりの工夫をするのはWeb上でも実社会でも同じことです。(このページも実際は長ーいページです)
カタログページやショッピングサイトなどでは、実際に手に取ったり触ったりできないだけに、商品の説明のために別ウインドウで詳細を表示することが多いと思います。一覧ページや注文ページのセッションを維持しながら商品をより詳しく知ってもらうためですが、拡大した商品の写真や説明を見れば見るほどデスクトップには新しいブラウザのウインドウが開くことになります。ユーザーの興味や思考もウインドウが開くことで中断されてしまいます。
現在ほとんどのブラウザでJavaScriptによる単純なポップアップウインドウはブロックされます。作ってから何年もたったページではこの影響で当初狙ったような効果が得られず、内容が全く伝えられないケースも発生します。
また、将来的にはブラウザのリンクから新しいウインドウを開くことを指定するのは推奨されず、リンクを「新しいウインドウで開く」か「同じウインドウで開く」かまたは「同じウインドウの別のタブで開く」かはユーザーの判断にゆだねる方向になってきます。これはデスクトップやウインドウの概念がない非PC環境での閲覧を見据えた措置です。
ポップアップブロックを回避した上で同じウインドウ内で画像や別ウインドウのコンテンツをオーバーレイ表示したり、タブを切り替えて表示することで、ユーザーは複数のウインドウを切り替えたりページ移動することなく画像や説明を見ることができます。最近のAjaxを利用すれば、JavaScriptを無効にしているユーザーでもコンテンツそのものは見ることができます
Webサイトを作ったからにはより多くの人に知ってもらいたいのは当然のことです。しかし「検索結果がなかなか上位に表示されない。」「自社の商品を話題にしているブログの方が上位に表示されている。」…なかなかうまくはいかないものです。
制作時にできることは本文をしっかりとした文書構造にして最適化を行い、検索エンジンのロボット(クローラ)が読み取りやすいページにします。ブログが検索エンジンに強い理由の一つに文書としての本文(XHTML)とデザインやレイアウトなどの外見(外部CSS)をきちんと分離していることが挙げられます。表面には現われないので分かりにくい部分ですが、見出し・メニューのリスト構成などをきちんとマークアップし、デザインやレイアウト部分を分離することで改善できます。
ほとんどの検索エンジン スパイダーがサイトを認識する場合、Lynx と同様の形式で認識しています。テキストブラウザで、JavaScript、cookie、セッション ID、フレーム、DHTML、Flash などの特殊な機能を使用して作成されたサイトの一部が表示されない場合は、検索エンジンスパイダーがサイトをクロールするときに問題が発生する可能性があります。 (Googleの技術関連のガイドラインより抜粋)
当方はページ表示の確認にテキストブラウザ(Lynxなど)も使用します。また、テキストブラウザは音声読み上げブラウザなどのベースにも使われていますので、アクセシビリティに優れたサイトとしても評価されます。
SEO(検索エンジン最適化)に「対策」を組み合わせた不思議な単語ですが、検索結果が上位に表示されるように『SEO「対策」』を行ってくれという要望はよくあります。しかし、検索結果が上位に表示されることが本当の目的なんでしょうか? 『SEO「対策」』として多額の費用を費やしているサイトも多いでしょう。
具体的なSEOの手法には、ターゲットにするキーワードの適切な選択や被リンク先サイトの増加などの手段があるが、サーチエンジンのランク付けのアルゴリズムは年々高度化が進み「攻略」しにくくなっており、さらに頻繁に変更が行われ激しく順位の変動が繰り返される。このためSEOには王道は無く、地道にコンテンツを充実させて認知を広げていく以外に着実な手段は存在しないと言える。(IT用語辞典より)
SEO「対策」に数十万円かけるよりは検索エンジン連動広告などに広告を出稿したほうが効果が高い場合があります。また、漠然と「検索結果の上位に表示されること」それ自体が SEO の目的だと思っている方も多いと思いますが、検索結果の上位に表示されてもサイト利用者がWebサイトを訪れて何のアクションもとってくれないのでは意味がありません。
最近、ほとんどの大規模なサイトでは何かしらのCMS(コンテンツマネージメントシステム)が導入されています。新着情報・新製品情報・プレスリリースなどの一部をCMSで作ったり、すべてをCMSで構築したりいろいろです。また、小規模なサイトでも「更新作業を自分達でやりたい」ということで、すべてをCMSで構築してくれという依頼も増えています。
我々制作者サイドからはお客様(依頼者)の利便性を第一に考えればCMS導入も結構なことだとは思いますが、サイトを利用するユーザーの立場からはどう見えるでしょうか。
予算の都合上ライセンスだけで数十万~数百万する企業向け商用CMSではなく、ブログやコミュニティ機能に特化したCMSを使ってすべてのページを作った場合、どうしても時系列やスレッドベースでコンテンツが積み上がっていくので構成に工夫をしないと、かえって分かりにくいページになってしまうこともあります。また、CMSで構築したのに更新することもなく1年以上そのままで、別にCMSにする必要がなかったという例もありますし、コンテンツの元であるデータベースのバックアップを怠っていた上に、オペレーションミスで過去のコンテンツが消失してしまった例もあります。
「更新作業もカンタン」というのは楽ができるということではなく、技術的なことが詳しくなくてもコンテンツが作成できるということで、サイト利用者に対し魅力的なコンテンツを提供できるように工夫をするのはCMSであってもなくても同じことです。
小規模なWebサイトを初めて作るお客様に多いのが「これと同じものを作っておいて」と素材としてパンフレットを1部だけ渡されるケースです。「とりあえずWebサイトがあればいい」とお考えのようですが、経験上パンフレットをそのまま写しただけのサイトは誰にも見られず失敗例も多いようです。コンテンツの内容・文章・素材などWebサイトは印刷物のパンフレットとは全く違う要素が求められます。ただ一方的に「情報の発信」をしてもユーザーの心は動きません。
また、「○○(有名サイト)みたいに動くページをいっぱい作って」(Flashや動画を使うこと?…この予算では無理です)「よくテレビみたいに全画面で表示されるページがあるよね。あれ作って」(サイト訪問者に支持されるかどうかは別物です)などWebサイトの役割が100%広告だと思って発注される場合もあります。
Webサイトの役割は宣伝だけではなく、印刷物や既存のメディアでは伝えきれない情報を公開する場であったり、ユーザーの声やアイデアを直接聞くことができる場であったりします。時には自社にとって不利益になる情報も包み隠さず公表することによって、信頼感や企業価値が高まる可能性があります。
企業内システム構築の場合は常識となっている提案依頼書(RFP)ですが、Webサイトとなるとまだまだ口頭でのやりとりや、こちらで提出した企画書をもとにちょっと打ち合わせするだけというところが大勢です。口頭でのやり取りで困るのが「明るくて可愛い感じで」などの抽象的な要求や「売り上げが上がるページを」など最終的な目標をすべてWebサイトだけに求めたり、確定したサイト構成の変更を作業途中に求めてきたりするケースなどさまざまです。
Webに詳しい詳しくないなどのリテラシーにはあまり関係なく、「自分は全くの素人」という経営者の方が的確な方針やコンテンツ内容を提示する場合もありますし、Webに詳しい(と思われる)担当者が要求を二転三転させた挙句、社長の一声でまた方針転換して結局何がやりたいのかわからないサイトになってしまうなど、制作時のドタバタの例は枚挙にいとまがありません。
「発注側の提案依頼書」 → 「制作側が提案」 → 「契約」 → 「制作」が通常の流れですが、現実的には打ち合わせの際に提案依頼書を最終的に完成させるという形になります。たとえば作業途中で理由もなく「印刷結果が少し違う」と修正を求められるより、事前に「営業担当者が、先方へ資料を渡す際にWebページのプリントアウトを参考資料として添付する場合があるので、印刷の際に表示が乱れないように。」などの具体的な要望があれば作業も的確になります。また、提案依頼書をきちんと文書化することで、自社のWebサイトの目的が明確になり、作業範囲や仕様を明記することによって「言った」「言わない」などのトラブルや仕様変更による作業の遅れや費用の増加を防ぐことにもなります。
リニューアルを引き受ける際には既存のサイトの問題を洗い出すことから始めますが、担当者が自社のWebの状況を把握していない場合があります。現状の問題点を整理せずに、まずリニューアルありきで関心は新規コンテンツに向かいます。「これからは海外にも積極的に情報を発信したい」(外国語ページも作るんですか…問い合わせの対応ができる人材が社内にいますか?)「Web上でも製品を直接販売したい」(取引先との関係は大丈夫ですか?)etc...
希望はわかりますが、社内外の状況を無視した強引な展開は逆効果になる場合もあります。
ホスティングサービス会社が提供しているアクセス解析機能やGoogle Analyticsといったツールを使えば、検索に使われた語句やアクセスの多いページ、訪問後の動線・傾向・滞在時間、ユーザーの使っているOSやブラウザの種類とバージョン、ディスプレイの解像度、利用ネットワーク環境もわかります。これらを分析することで現在のWebサイトが誰にどのように見られているのかがつかめます。Web担当者はこういうデータを地道に積み重ね検討し、時にはユーザーの声を直接聞いたり外部のコンサルタントに依頼することでリニューアルの方向が見えてくると思います。
このページの横幅が広いのも訪問ユーザーのモニター解像度が思ったよりも高く、ワイドディスプレーを使っているユーザーが多かったからです。